特定技能とは?制度の基本から技能実習との違い・受入れ手順まで解説

特定技能とは、日本国内の深刻な人手不足に対応するため、特定の産業分野で一定の専門性や技能を持つ外国人を受け入れる在留資格です。一定の日本語能力と技能試験に合格した即戦力となる外国人が対象で、受入企業は生活や就労の支援を行う体制を整えて雇用します。

ご担当者様
ご担当者様

外国人材の受入れを調べていると「特定技能」という言葉をよく見かけますが、どのような制度なのでしょうか?

すばる担当
すばる担当

特定技能は、日本の人手不足を解消するために作られた比較的新しい在留資格です。まずは制度の目的や対象分野などの基本から整理しましょう。

この記事でわかること
  • 特定技能制度の目的と対象となる業種(特定産業分野)
  • 「技能実習」と「特定技能」の決定的な違いと移行のスケジュール
  • 受入企業に必要な準備・費用構造の注意点と採用までの具体的な流れ
目次
  1. 特定技能とは?制度の目的と基本概要
  2. 特定技能1号と2号の決定的な違い
  3. 技能実習と特定技能の違い【比較表付き】
  4. 特定技能外国人を受け入れる企業の基準と準備
  5. 特定技能外国人を採用・配属するまでの具体的な流れ
  6. よくあるご質問
  7. まとめ

特定技能とは?制度の目的と基本概要

特定技能制度の目的と基本構造を示す図解

特定技能は、2019年4月に創設された外国人の在留資格です。従来からある外国人材の受入れ制度と比べ、より現場の即戦力として外国人を受け入れるための仕組みが整えられています。

特定技能の目的は「人手不足の解消」

特定技能制度の最大の目的は、生産性向上や国内人材の確保を行ってもなお人手不足が著しい分野において、一定の専門性や技能をもつ外国人を受け入れることにあります。

国際貢献や技術移転を目的とする技能実習(母国へ技術を持ち帰る制度)とは異なり、特定技能は明確に日本国内の「労働力の確保」を目的として設計されている点が大きな特徴です。

対象となる特定産業分野(17分野)

特定技能で外国人を受け入れられる分野は、法令で定められた「特定産業分野」に限られています。受入れが行われている対象分野は、以下の17分野です(2026年6月時点)。

  • 介護
  • ビルクリーニング
  • 工業製品製造
  • 建設
  • 造船・舶用工業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業
  • 自動車運送業
  • 鉄道
  • 林業
  • 木材産業
  • リネンサプライ

なお、2027年4月からは物流倉庫・資源循環の2分野が加わり、19分野となる予定です。

製造業、食品製造、介護、外食、宿泊などの多様な現場で特定技能外国人が活躍しています。分野ごとに従事できる業務内容や区分が細かく定められています。

特定技能外国人に求められる要件(技能試験・日本語試験)

特定技能として就労するためには、外国人本人が以下の2つの基準を満たす必要があります。

  1. 技能評価試験への合格:各業界団体や所管省庁が実施する評価試験に合格し、現場で必要な知識・技能があることを証明する
  2. 日本語能力試験の合格:原則として日本語能力試験(JLPT)のN4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)に合格し、日常会話程度の日本語ができることを証明する

これらの試験に合格することで、現場に入ってすぐに一定の作業を行える即戦力としてのスキルが担保されます。なお、技能実習2号を良好に修了した外国人については、試験が免除されて特定技能へ移行できるルートも用意されています。

特定技能1号と2号の決定的な違い

特定技能1号と特定技能2号の主な違いの比較図

特定技能の在留資格には「1号」と「2号」の2種類が存在します。受入企業が外国人材の長期的な活用を検討するうえで、この2つの違いを正しく理解しておくことが重要です。

1号(最長5年・即戦力)と2号(上限なし・家族帯同可)の比較

特定技能1号と2号の主な違いは、通算の在留期間、求められる技能水準、そして家族の帯同が認められるかどうかにあります。

比較項目 特定技能1号 特定技能2号
技能水準 相当程度の知識または経験(即戦力) 熟練した技能(現場監督・リーダー級)
在留期間 通算で最長5年まで 更新に上限なし(長期就労が可能)
日本語能力 試験等で確認(N4相当以上) 業務上必要な日本語力(試験での確認は原則不要)
家族の帯同 原則不可 可能(配偶者・子)
受入企業の支援義務 支援義務あり(登録支援機関への委託可) 支援義務なし

1号は現場の即戦力として最長5年まで就労できる資格であり、受入企業側には出入国や生活に関する手厚い支援体制が義務付けられています。一方、2号は熟練した技能を持つ人材向けであり、在留期間の上限がなく家族を呼び寄せることも可能になります。

2号への移行条件と現在の運用状況

特定技能1号として経験を積んだ外国人は、各分野で実施される高度な試験(特定技能2号評価試験等)に合格し、実務経験等の条件を満たすことで「特定技能2号」へ移行できます。

制度創設当初、特定技能2号の対象分野は建設と造船・船舶工業の2分野に限られていました。しかし、対象分野の拡大が行われ、現在では対象分野の多くで2号への道が開かれています。1号で5年間活躍した優秀な人材を、将来的な現場リーダーや管理職候補として長く雇用し続けるための環境が整備されつつあります。

技能実習と特定技能の違い【比較表付き】

技能実習と特定技能の制度的な違いの比較図

外国人材の受入れを検討する際、「技能実習」と「特定技能」の違いについて正しく理解しておくことが不可欠です。両制度は目的から運用方法まで大きく異なります。

目的・在留期間・転職可否・日本語能力の比較

2つの制度の根本的な違いは「国際貢献(人材育成)」か「人手不足の解消(労働力確保)」かという目的にあります。

比較項目 技能実習 特定技能(1号)
制度の目的 国際貢献(技術移転・人材育成) 人手不足の解消(労働力の確保)
受入れ時のスキル 未経験可(育成を前提) 即戦力(技能・日本語試験合格)
在留期間 最長5年(1号・2号・3号) 通算最長5年
転籍(転職) 原則不可 同一分野内で可能
入国時の日本語力 原則不問(一部職種を除く) N4以上またはJFT-Basic合格

技能実習は未経験者を自社で段階的に育成する枠組みであるのに対し、特定技能は最初から一定のスキルと日本語能力を持った即戦力を採用する枠組みと言えます。

技能実習から特定技能への移行ルートとメリット

実際の受入れ現場では、技能実習生として3年間(技能実習2号)を良好に修了した人材が、そのまま同じ企業で「特定技能1号」へ移行して働き続けるケースが非常に多く見られます。

技能実習から特定技能へ移行する場合、外国人本人と受入企業には以下のような大きなメリットがあります。

  • 技能試験および日本語試験が免除される(技能実習2号の良好修了が条件)
  • 自社の業務や日本の生活習慣にすでに慣れているため、移行後もスムーズに即戦力として活躍できる
  • 受入企業にとっては、一から新しい人材を採用・育成する手間の削減につながる
ご担当者様
ご担当者様

自社で育てた技能実習生にそのまま特定技能へ切り替えてもらう場合、手続きのタイミングはいつ頃が適切でしょうか?

すばる担当
すばる担当

実習満了の1.5〜2ヶ月前から資格変更手続きを進める形になります。適切な準備を行うことで、実習満了の翌日から途切れず特定技能へ移行が可能です。

技能実習生から特定技能へ移行する際は、N4相当以上の日本語能力が求められます。実習満了の1.5〜2ヶ月前から在留資格変更申請などの各種手続きを開始することで、最短で技能実習の満了期間が明けた1日目から特定技能として雇用を継続できます。

【2027年4月〜】育成就労制度への移行で変わるポイント

技能実習制度は見直しが進められており、2027年4月からは新制度「育成就労制度」へと移行する予定です。

育成就労制度は、従来の技能実習が持っていた「国際貢献」という建前を改め、約3年間で人材を育成し「特定技能1号」の水準まで引き上げてそのまま確保することを明確な目的としています。

2027年4月の育成就労開始を見据え、現在技能実習生を受け入れている企業やこれから受入れを検討する企業においては、将来的な特定技能への切り替え計画を早期から検討しておくことが重要になります。

特定技能外国人を受け入れる企業の基準と準備

特定技能外国人の受入れに必要な企業基準と支援体制の図解

特定技能外国人を受け入れる企業(法令上の呼称:特定技能所属機関)には、法令で定められた基準の遵守と適切な支援体制の構築が求められます。

受入企業(特定技能所属機関)に求められる主な要件

特定技能外国人を雇用する企業は、主に以下の基準を満たしている必要があります。

  • 労働、社会保険、税務に関する法令を遵守していること
  • 過去5年以内に労働基準法等の労働関係法令に関する違反がないこと
  • 同種業務に従事する日本人と同等以上の報酬を支払うこと
  • 外国人が理解できる言語での適切な支援体制を整えていること

特に日本人と同等以上の報酬を設定することや、過去に労働基準関係法令の違反がないかどうかが厳しく確認されます。

登録支援機関への委託と「支援10項目」の実施義務

特定技能1号外国人を受け入れるにあたり、受入企業には「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、以下の「支援10項目」を実施する義務があります。

  1. 事前ガイダンスの実施
  2. 出入国時の送迎
  3. 住居確保・生活必要な契約(携帯電話・口座等)の支援
  4. 生活オリエンテーションの実施
  5. 日本語学習機会の提供
  6. 相談・苦情対応
  7. 各種公的手続きへの同行・支援
  8. 日本人との交流促進
  9. 非自発的離職時の転職支援
  10. 定期的な面談の実施・行政機関への通報

社内に自社支援ができる体制(過去に過去2年間外国人受入実績がある等)がない場合、これらの支援業務全般を「登録支援機関」に全額委託することが法律上必要となります。

【現場視点】受入れ費用で見落とされがちなポイントと内訳の考え方

特定技能外国人の受入れにかかる費用は、大きく分けると「受入れ時(採用・申請時)にかかる初期費用」と「配属後に毎月発生する月額支援費用」に分かれます。

月額費用(委託費)の安さだけで判断して契約したものの、後から生活立ち上げの同行費、通訳費、行政手続きの代行費などが追加費用として頻繁に発生し、最終的に総額が高くなってしまうケースが見受けられます。

受入れを検討する際は、提示された月額支援費用に「支援10項目のどこまでが含まれているか」「どのようなケースで別料金が発生するのか」を事前に契約内容や見積書で詳細に確認しておく視点が極めて重要です。

すばる事業協同組合は登録支援機関として、支援計画に基づく10項目の支援を受入れ企業様に代わって行っています。支援の内容は特定技能事業のページをご覧ください。

特定技能外国人を採用・配属するまでの具体的な流れ

特定技能外国人受入れにおける3パターンの手続きフロー図

特定技能外国人を受け入れるためのルートは、大きく分けて「国内採用」「海外からの新規受入れ」「技能実習からの移行」の3つのパターンが存在します。それぞれのパターンによって手続きや配属までの期間が異なります。

国内採用(留学・他社からの転職)の場合

すでに日本国内に在留している留学生や、他社で特定技能外国人として働いていた人材を採用するルートです。

日本国内で集客や面接を行えるためスムーズに選考が進みやすい一方、出入国在留管理局への「在留資格変更許可申請」が必要です。申請から許可が下りるまでに時間を要するため、面接から配属までの準備期間としておおむね最短でも2か月程度を想定しておくことが大切になります。

海外からの受入れ(新規渡航)の場合

現地(ベトナムやインドネシアなど)に在住している外国人材を募集し、新規に日本へ呼び寄せるルートです。

現地の送出し機関を通じて募集を行い、面接・現地での日本語・技能学習・現地の送出し手続き・日本の「在留資格認定証明書交付申請(COE)」・現地大使館でのビザ発給など多くのステップを踏む必要があります。募集開始から実際に渡航して配属されるまでにおおむね5か月程度の期間を見ておく必要があります。

  

対応事項 一般的に必要な期間
書類準備 1か月
在留資格認定証明書 3か月
現地ビザ申請 2週間
入国準備・渡航 2週間

技能実習からの移行の場合

自社または他社で技能実習生(技能実習2号)として実習を行っていた外国人材が、実習満了に伴いそのまま特定技能1号へ移行するルートです。

この移行ルートでは、技能試験や日本語試験が免除される特例があります。

技能実習生から特定技能に移行する場合、実習満了時期の3ヶ月前から在留資格変更手続きを開始します。スケジュールに合わせて準備を進めることで、技能実習の満了期間が明けた1日目から途切れず特定技能に移行して勤務を継続できます。

よくあるご質問

技能実習と特定技能の違いは何ですか?

根本的な「目的」と求められる「スキル水準」が異なります。技能実習は日本の技術を母国に持ち帰る「国際貢献・人材育成」を目的とした制度で未経験からの受入れが基本ですが、特定技能は日本の「人手不足解消・労働力確保」を目的としており、即戦力となる技能や日本語能力が求められます。また、特定技能では同一分野内での転職が認められている点も大きな違いです。

特定技能で何年間働けますか?

特定技能1号の場合は通算で最長5年間まで働くことができます。熟練した技能が求められる特定技能2号へ移行できた場合は、在留資格の更新に上限がなくなり、5年を超えて長期的に働き続けることが可能になります。

特定技能とはどんな資格ですか?

日本の人手不足が著しい特定の産業分野(17分野)において、一定の専門性や技能・日本語能力を持つ外国人が「即戦力」として労働を行うための在留資格です。受入企業側には、生活面や行政手続きなどの手厚い支援体制(支援10項目)を構築することが義務付けられています。

特定技能にはどうやってなるのですか?

主に2つのルートが存在します。1つ目は、各業界団体が実施する「技能評価試験」と「日本語能力試験(N4以上またはJFT-Basic)」の両方に合格するルートです。2つ目は、「技能実習2号」を良好に修了して試験免除で移行するルートです。

特定技能外国人は正社員として採用する必要がありますか?

法令上、特定技能外国人は「フルタイムの直接雇用」が義務付けられており、基本的には正社員(無期または有期の直接雇用契約)として採用する形になります。日本人と同等以上の報酬を支払う必要があり、派遣雇用は原則認められていません(建設・農業など一部例外分野を除く)。

特定技能と育成就労の違いは何ですか?

特定技能は「即戦力人材の確保」を目的とした在留資格ですが、育成就労は2027年4月から技能実習に代わって開始予定の「未経験者を育成して特定技能1号レベルへ引き上げる」ための新制度です。育成就労で3年間育成した人材をそのまま特定技能へスムーズに移行させることが想定されています。

まとめ

特定技能は、日本の深刻な人手不足に対応するため、一定の専門性や技能を持つ外国人材を「即戦力」として受け入れる重要な在留資格です。技能実習制度との違いや、企業側が準備すべき体制・費用のポイントを正しく理解しておくことが受入れ成功の鍵となります。

特定技能受入れ検討のチェックリスト
  • 自社の業種が「特定産業分野(17分野)」に該当しているか確認する
  • 1号(最長5年・即戦力)と2号(上限なし・長期雇用)の役割の違いを押さえる
  • 社内支援体制がない場合は、登録支援機関への支援委託(支援10項目)を検討する
  • 費用比較の際は月額費用だけでなく、追加費用になりやすい項目の有無を事前に確認する
  • 2027年4月に予定されている「育成就労制度」への移行を見据え、技能実習からの切り替え計画を早期から検討する

特定技能外国人の受入れにあたっては、自社の就労環境の整備と適切なサポート体制の構築が重要です。制度の変更点や現場のスケジュールを考慮しながら、計画的な人材活用を進めていくことが求められます。

この記事を監修した人

常務理事 池田 正勝

すばる事業協同組合

常務理事池田 正勝

第1種衛生管理者として人材サービス業界で15年以上の実務・現場経験を持ち、海外人材分野では現地駐在経験も含め10年以上従事。ベトナム駐在の経験から現地事情にも精通。

※正確で分かりやすい情報発信のため、当組合の知見をもとに生成AIで草案を作成し、制度と現場に詳しい担当者が監修しています。